会長就任挨拶
本年1月から2年間,会長を務めることになりました,名古屋大学情報学研究科の時田恵一郎です.まずは,瀬野裕美前会長と前事務局の中田行彦さん,國谷紀良さん,岩本真裕子さん,大森亮介さん,2年間の学会運営大変ご苦労様でした.
2020年早春に始まったコロナ禍は,予想もしない形で学会活動を含む世界中の高等教育研究のDX化を後押しすることになりました.本学会においても,2020年末に会員管理システムSmoosyが導入され,さらに直近の会長・運営委員選挙ではオンライン投票(e投票)が実施されました.これらのシステムの利便性については会員の皆様も実感されておられるかと思いますが,その運用には前事務局の大変なご尽力があったとお聞きしております.重ねて感謝申し上げます.
新事務局は,幹事長を理化学研究所数理創造プログラム(iTHEMS)黒澤元さんに,会計を金沢大学理工研究域生命理工学系瓜生耕一郎さんに,幹事を東京工業大学環境・社会理工学院中丸麻由子さんと東京女子大学現代教養学部山口幸さんにお願いして,すでに昨年中に引き継ぎも行い,早速各種業務に参画して頂いております.これから2年間,2023―2024年度の学会運営につきましても,さらなるDX化を進め,会員の皆様の利便性向上とともに今後ますますの数理生物学の発展に寄与できるよう努力して参りたいと思います.
本学会の主要事業は毎年の年会の開催とニュースレターの発行です.2022年度の年会は,明治大学西森拓大会委員長,明治大学若野友一郎実行委員長のもと,明治大学の小川知之さん,二宮広和さん,中村和幸さん,池田幸太さんらの実行委員会のご尽力によりオンラインで開催されました.京都大学西浦博さんによる大変時宜を得た総合講演「新型コロナウイルス感染症のリスク評価への数理モデル活用」を始め,興味深い企画シンポジウム,一般講演,ポスター発表が行われました.年会をサポートされた皆様,参加された会員の皆様には重ねて御礼申し上げます.
2023年度の年会は,奈良女子大学理学部の高須夫悟大会委員長,瀬戸繭美実行委員長のもと,対面とオンラインを同時に行うハイブリッド形式で開催される予定です.ハイブリッド開催は本学会初の試みであり,対面のみ及びオンラインのみの場合の合計以上の労力が要求されますので,学会事務局としても全面的にサポートさせて頂くつもりです.座長やポスター賞審査員など,参加される会員の皆様のご協力もお願いすることになりますので,その際はどうぞよろしくお願い致します.
ニュースレターにつきましては,2021年10月から東京海洋大学の岩田繁英編集長,国立社会保障・人口問題研究所の大泉嶺編集委員,国立研究開発法人海洋研究開発機構の酒井佑槙編集委員により,「科学史対談」や「数理モデルのロストテクノロジー」などの魅力的な連載も始まり,今後の記事をいち会員としても楽しみにしているところです.また,かねてよりご意見を頂いていたニュースレターの冊子版廃止及び完全オンライン化についても議論を進めて参りたいと思っております.これにつきましては,会員アンケートやパブコメなども実施したいと思っております.是非事務局にご意見をお寄せ頂ければ幸いです.
学会賞の受賞者選考も学会の大切な事業のひとつと認識しております.次回の大久保賞は2025年にシニアの研究者の選考を行う予定ですが,今年も研究奨励賞の候補者募集を行いますので,若手の会員の皆様は奮ってご応募くださいますようお願い申し上げます.
学会の財政につきましては,蓄積された繰越金に「新しい芽を育む会」からの寄付金も加わり,健全化のフェーズから,国内外での数理生物学のプレゼンスを高めるための新たな学会事業を展開する時期に入っているものと思われます.これにつきましても事務局,運営委員会で議論を進めて参りますが,会員の皆様からのご提案もお待ちしておりますのでどうぞよろしくお願い致します.
AlphaFold2など,AI・機械学習の大波は生物学にも押し寄せています.産学官のデータサイエンス人材に対する需要拡大も本学会の追い風になると信じております.会員の皆様の教育研究の益々のご発展を祈念して就任の挨拶を締めくくらせて頂きます.
2023年 1月