日本数理生物学会の会員の皆様 No.3

2005年1月21日

会員の皆様への私からのメールも、3回目です。

今回は、日本数理生物学会が開催する大会について紹介します。

もともとは、1989年に数理生物学懇談会が設立されて、数理生物学シンポジウムとして毎年開催されていたものが、次第に充実してきたものです。ここ数年は秋、ことに9月に開催されています。

学会組織に換えることが総会で議論されたのは2002年の函館大会、決まったのは2003年の奈良女子大学での大会でした。その後、2004年の9月に広島大学で、学会に移行してから最初の大会が開かれました。しかし、それ以前の数理生物学シンポジウムとの継続性を大事にして、相談のうえ第1回大会ではなく、「第14回大会」と名乗ることにいたしました。

昨年の広島大会では、大会会長は三村昌泰先生で、実行委員長は瀬野裕美さんでした。広島大学の美しく快適な会場で、とても充実したシンポジウムを開いてくださいました。

会員のもっている科学研究費や日本学術振興会の短期招聘などをもちいて、海外の数理生物学者に参加をしていただくように工夫がつづけられています。 広島では、ESMTB(ヨーロッパの数理生物学組織)とSMBの合同大会が今年ドレスデンで行われますが、その開催責任者のAndreas Deutschが招かれ、パターン形成についての講演がありました。その他にもMark LewisやHorst Malchow, Frank Hilkerや Charlie Smithなど多くの海外参加者がありました。

大会の案内のホームページはhttp://risk.kan.ynu.ac.jp/jsmb/ です。

横浜国立大学の21世紀COEの公開講演会を引き続いて開催されることにより、魅力ある講演者を海外などからも呼ぶことを考えておられると伺っています。

関東地区には多くの数理生物学研究者がおられます。その意味で横浜での大会は、数理生物学研究者や大学院生を学会にひきつけることがしやすいという意味でも重要だと思います。

なお釜山大学のTae-Soo Chonさんを中心にして韓国数理生物学会を立ち上げる相談が進んでいます。それがもしうまく実現すれば、今年あたりにはじまります。私はできることなら福岡での大会には、韓国数理生物学会の方々もジョイントで参加してもらえればとも考えています。プサンと福岡とは高速船で3時間以下ですので、隣町ですし、福岡の地理的な特徴が生かせるとよいと思います。

韓国や中国をはじめアジア・パシフィック地域の数理生物学者とともに育っていくことは日本数理生物学会の若手にとっても重要です。

San Joseというサンフランシスコの近郊の町で、アメリカ数学会の会議があり、それにくっついた形でSMBが開かれ、それを日本数理生物学会とのジョイントにするというものです。

SMBとの合同会議はハワイのヒロにおいて2001年に開催しました。ヒロ大会は、参加した大学院生達にとって大きな刺激になり,研究者としての成長に重要な役割をしたと思います。San Joseの大会はまだ少し先ですが、いまから準備することによって、若手にとっては国際会議の経験を、中堅研究者にとっては、アメリカやヨーロッパなどの数理生物学者とJSMBの会員が共同でシンポジウムをオーガナイズしたりといった経験が積めるのでとても望ましいと思います。

また研究分野で考えると、日本数理生物学会ではそれほどでないのにSMBで盛んに研究されている分野がありますが、それに対応できる日本人研究者に会員でなくてもSan Jose会議の準備の協力をお願いするということも必要かもしれません。またそのことでJSMBの会員の研究分野や関心が広がっていくことも大事と思います。

日本数理生物学会としては、竹内康博さんを準備委員長としてSan Jose会議への対応について考える委員会を立ち上げることが広島の総会で決まりました。旅費補助や開催費用の負担金など、学会として準備すべきこともありますが、若手会員の刺激になり交流の経験をつむ機会としては、とても重要と思います。

会員の皆様の希望や意見が十分に活かされた会になるようにと願っていますのでご協力よろしくお願いします。

巌佐 庸  日本数理生物学会会長

日本数理生物学会の歴史/巌佐会長 (2005-2006) からのメッセージ

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